グサグサとささる視線が痛い


「桜行くぞ」「桜先輩、早く」


すると柊哉くんは自身の左手と私の右手を、智哉先輩は自身の右手で私の左手を繋ぎ走り始めた


私はそんな2人についていくために一生懸命走るしかなく、ゴールへたどり着いたときにはもうへとへと


「呉澤兄弟、お題に沿っています!名前をお伺いしても?」


ゴールで確認係の人が私にマイクを向けてくる
疲れたから早くテントに戻りたくて口を開いた


「?!」


開いたけど、名前もなにも言えなかった
私の口を柊哉くんが覆ったから
見上げると人差し指を口許に当て、静かにねと言っていたのでコクコク頷く


「秘密」


私が柊哉くんに返事を返していたときに智哉先輩が係員の生徒に返してくれていた


マイクを通して響いた智哉先輩の声に女子たちの悲鳴が上がっていたけれど、私はそれどころではなかった


というのも、お腹が鳴りそうで鳴りそうでそっちの方が私にはかなり重大だったから
美里ちゃんに女子たちの悲鳴がすごかったんだよ!と聞かされたのはお昼休みの時間だった