ーーその時ー…

「どちらさま?!」
それと同時にカーテンのなかから
若い看護婦さんが入ってきた。

「…えっと……………」

言葉につまってしまう。
ここで何を言うべきなのだろうか。

「もしかして要君の親族?!」
看護婦さんは手に
もっていたシーツを落として言った。

ーーーーー親族…………………

「…………はい………」

嘘をついてしまったー…。

「要君はもうここにはいないわよー…」

ーーーーえ…

「退院したんですか?!」

無償に心配になるー…。

忘れようとしていたものがまた蘇ってくる。

「要君はねー…………………」


看護婦さんから
話を聞いた私はその場に座り込んだ。
そしていてもいられなくなった
私は再び階段をおりるー…。

看護婦さんから聞いた話はこうだったー…。

要君は確かに1ヶ月前まで501号室にいた。
けれど、感染から、約10年が経ってしまい、
合う薬もなくー…、今、病気の一階でかくりされているらしい。