しばらく待つと、歯磨きを終えた天さんが戻ってきた。天さんも小さなショルダーバッグに数少ない荷物を詰め始める。


「澪は、行きたくない?」

「いえ、そういうわけではないです。ただ、遊園地なんていう陽キャ的スポット、私なんかと行っても楽しくないと思いまして。」

「いや絶対そんなことないから。なに陽キャ的スポットって笑える」

「…」


気まずく、ないのかな。楽しいのかな。折角お金払ってるのに。私に誘ってくれる理由がわからない。

私自身は行きたくないわけではない、けど。


「俺は澪と行きたいから。行きたくないわけじゃないんなら行こーよ」

「私と…」


私と遊園地なんて遊びに行きたい、なんて言ってくれる人は初めて。

今までいた僅かな友達といえる存在とだって、私を遊びに入れなかったし、遊んだことがない。

私がいたら気まずい、面白くもなんともない、という理由からだろうな。ほんと、キャラも何の取り柄もない私なんだから。

でも、面白くも何ともないし取り柄もないただの無表情保持者のような奴と、行きたいと言ってくれる光のような人がいるんだ、。