まるで、行っちゃダメって言われてるみたいで。
「え、えっと、このあとちょっと用事があって」
「そっか。じゃあ、また機会があったら誘うね」
そのまま萩野くんは去っていって。
わたしも生物室を出ようとしたんだけど。
「そ、梵木くん……?」
さっきからわたしの小指を握ったまま。
今度は手をギュッとつながれて、死角になる廊下の隅へ。
背中にピタッと壁が触れて、両手も壁に軽く押さえつけられた。
身体がぜんぶ梵木くんに覆われてる。
梵木くんが、わたしの肩にコツンと頭を乗せながら。
「用事って何があったんですか?」
ちょっとイジワルそうに聞いてくるの。
きっと用事なんてないのわかってて聞いてきてる。
「梵木くんが引き止めた……のに」

