梵木くんに恋人(仮)宣言をされて早くも数日。


「咲桜先輩もっとこっちきて」

「ぬぁ! 梵木くん近すぎ!!」


放課後、別校舎に呼び出されて、なぜか毎日グイグイ迫られております。


まさか憧れの梵木くんと、こんなかたちで接近することになるとは。


「彼女に近づくのに理由いる?」

「うぅ、こんな梵木くん知らない!!」


彼女といっても仮なんですが。

それに、梵木くんは慣れてないわたしをからかいたいだけだと思う。


「俺と愉しいことするって約束忘れちゃった?」


「そ、それって、どんなこと……」


「ためしに先輩の身体にしてみる?」

「し、しなぁい!!」


……って、抵抗したのに。

指先でわたしの制服のリボンに触れて。


「あ、先輩が動くからリボンほどけちゃった」


「い、今ぜったいわざと引っ張った……!」


あっという間に襟元からリボンが抜けてしまった。


「じゃあ、俺から取り返してみて」

「ぬぅ……」


わたしが届かないように、リボンをひらひらさせてる。