文化祭の吹奏楽部の発表も真剣に聴いた。
今まで、全く知らない曲で下ばっかり向いていた穂乃は先輩に曲名も聴いて調べた。
興味なければ無理することないよと言ってくれたが穂乃が知りたいと思ったのだ。
文化祭が終わると正直に勉強が苦手と話した。
自分の復習にもなるからとテスト前は勉強を教えてくれて、赤点をとった一学期とは比べものにならないくらい成績が上がったのだ。
「えっ、私より成績よくなったじゃん」
部員の絵里からもびっくりされた。
「穂乃、頑張ったね(笑)」
莉乃も誉めてくれた。
文化祭を先輩と少しだけ一緒に回った頃あたりから、2年、3年の視線を感じるようになった。
同じクラスの吹奏楽部の子にも聞かれた。
「増本先輩とつきあってるの?」
「えーっと……うん」
先輩は誰かに聞かれたら付き合ってるって話してもいいよと言ってくれていたのだ。
お試しでも放課後デートしてるし、無理なら別れたって普通のカップルにもあることだからと……
確かに中学の時はすぐ別れていた穂乃だから納得した。
「先輩って部内でも好きな人たくさんいるんだよ、どうやって先輩と知り合ったの?」
「体育祭で知り合ったの」
「えー、そんな事ある?先輩って違うグループだったでしょ?」
「そうなんだけど、たまたま先輩が怪我をした時にいて……知り合ったの」
「そっか、ありがとう、実は先輩に聞いてって言われてたんだよね、内谷さんて美人でちょっと話しずらいと一学期は思ってたんだ」
あっ、そうなんだ……
穂乃はあまりクラスにも仲のいい子はいなかった。
なんとなく授業中はぼーっとしてる事が多くて休み時間になると教室を出てウロウロ歩いている事が多かった。
「穂乃、ずっと座ってるの苦痛で、休み時間はウロウロしてるからかなぁ(笑)」
ニコッと笑うとその友達はびっくりしていた。
「笑うんだね、可愛い、これからも話しかけていい?」
「あっ、お願いします」
次移動教室だから一緒に行こ!と誘ってくれた。



