吐息も白くなりつつある10月の終わり──

何処も当てもなくただひたすら走った。

走って、走って、。

息が上手く揃わなくなって、足を止めた時

遠くから歌声が聴こえた。


『夜は優しく包み込み、月は微笑みかける。
そして、星は道を照らす。毎日を生きる君に
花束を──眠れない夜を少しでも』


気付いたら視界が歪んでた。

無理矢理抑え込んできたものが一気に溢れてきた。

嗚咽が周囲に響き渡る。

情けなくも、外で泣いてしまった。

でも周りの視線なんて今はどうでもいい。

名も知らないその人の歌声に私は、救われた。

何かそこに、心打たれるものがあったのだ。



それが貴方との出会いだった。