「振られてないし、文化祭の準備で愛菜が忙しかったんだよ」

「じゃあ、街に出るなら体育館に愛菜さんと覗いてよね」

「わかったわかった、まだどこに行くか決まってないんだよ、夜に連絡がくる」


「ふーん」


由依はあれからすぐ愛菜の事を気に入っていた。


僕に今日は何したとか聞いてくる。


確か咲優の時もそうだったかな、好きな奴でもいるんだろう……


次の日、バスを降りて住宅街をウロウロしている理久斗がいた。



もしかして、愛菜の家かな?


結構高級住宅が立ち並んでいるみたいだ。


ん?着いたかな?


表札の三木を確認してインターフォンを押す。


デカい家だな、愛菜ってやっぱり家政婦つけるくらいだからお嬢様かな、まあそんなイメージもなくはない。


「はーい」と愛菜の声がして玄関が開いた。



「りっくん、おはよう、迷った?」



「大丈夫、おはよう、まさか愛菜ん家とはね」


「どうぞ」


リビングに通される。


広い……僕はキョロキョロ見渡していた。



「えっと、今日はー、私が苦手な料理をします!」



「苦手なら無理にしなくても、僕がするし」


愛菜は首を横に振った。


「教えてもらおうと思って、朝、材料は買いに行ってきました。スマホ検索はしたんだけど、たくさんありすぎてわかんない(笑)」



「だろうな(笑)」

「おにぎりと卵焼きと唐揚げを作ってお弁当にしてどこか行きたいなと考えてたの」



「唐揚げ?今までに作ったことは?」


「……ないです」


「よし、唐揚げはやめよう」


えー、と愛菜は言った。