「愛菜…愛菜!」


「ん?」



「どうしたのさ、門から黙ったまんまで、調子悪いなら帰る?」



無意識のまま公園に来ていた。


「…ごめんなさい」


「今日は部活で話せなかったな」


「……りっくんが……いないから」


「今日はさ、部長が休んでたから会議に出てたんだよ」



「そう、会議に……」



「各部の部長が集まって冬休みの注意事項とか話し合ってきた」


「休憩時間は何してたの?」



「うーん、フォーム見てって言われたから、ゴム引きをしてたかな」


「秋枝の?」


「うん、愛菜と休憩が一緒じゃなくて残念だった、久しぶりに会えたのに、髪も似合ってるよ」



「正直に言って……私、新人戦の日、調子悪かったの?」


「調子が悪いっていうか、集中出来てなかったよね?的に当たった数は県大会に出れるからいいとして、集中力と射つテンポが少し速くなったり遅くなったり少しぶれてて、部長さんはちょっと戸惑ってた感じだったけど、ちゃんとカバーして当ててきたから流石だなって……」


「それって秋枝に言ったの?」



「言った、帰りが同じバスになったから、冷静に射てたねって、それがどうかした?」



秋枝もきっとりっくんが好きなんだ……



みんなりっくんの事を好きで……



「帰る……」



愛菜は立ち上がって自転車をこいで帰ってしまった。


え?愛菜、どうして?



理久斗は家に帰って電話しても出なかった。



これってケンカ?


いや、でも言い合いもしてないし、帰るだけじゃ、何もわかんない。