夏の日の思い出

「じゃあ、お化け屋敷」

「……そうきたか」


 橙哉の笑顔が引きつっている。


「昔から心霊番組とか好きだったもんな、桃香は」

「イヤならいいって。橙哉の好きなやつで」

「いや、俺も男だ。好きな女の願いくらい、叶えてやれなくてどうするってんだ」


 青い顔をしながらも、親指を立ててみせる橙哉。

 ほんと、昔から怖がりなんだから。

「心霊番組、一緒に見よ」っていくら誘っても、「見るだけで呪われそうだからムリ」って断るんだもん。