「ほらっ」


 そう言って、橙哉がわたしのほっぺたに、ぴとっと冷たいペットボトルをくっつける。


「ちょっとこれで頭でも冷やしとけ」

「うん。ありがと、橙哉」


 いつの間に買ってきたんだろ。

 わたしの大好きな、レモン味の紅茶。

 反対側のほっぺたにもぴとっとくっつけると、さっきまであんなに気分が悪かったのに、すーっと吸い取られるように楽になっていく。


「で? 桃香(ももか)はどれに乗りたいんだよ」

「わたしはなんでもいいから。橙哉はどれがいいの?」

「だ・か・ら。俺に付き合わせた結果こうなったんだろうが。だから次は、桃香の乗りたいやつ、乗りに行くぞ」


 そんなこと言うけど、さすがに橙哉はメリーゴーランドには乗りたくないんじゃない?

 ほら、少女マンガなんかでよくあるでしょ?

 ああいうのに憧れるけど、現実ではやっぱりムリだよね。