【第一話~第三話のプロット】

【第一話】
 貴族にとって魔法の才能が絶対的なステータスである世界。侯爵令嬢として生を受けたエリオーラは、人間離れした魔力量を生まれながらにもっており皆からの期待を一身に受けていた。だが、成長するにつれ初級レベルの魔法までしか使えない体質であることが判明する。
「魔力量は並外れていても宝の持ち腐れ」
「名門侯爵家の面汚し」
「初級魔法しか使えない落ちこぼれ」
 と周囲から嘲笑されるようになり、ついには将来の結婚相手である王太子エリオンからも婚約破棄を言い渡される。
 両親からも失望されて、エリオーラは辺境の地へと追いやられることになるのだが……魔法オタクである当の本人はケロリとしたものだった。
「やったー! これで雑音に煩わされず魔法の研究が思う存分できる!!」
 と内心ガッツボーズをしながら、恐ろしい魔物が頻出し誰もが忌み嫌うド田舎グルムリン領へと旅立つ。
 

【第二話】
 今まで屋敷のなかにこもっていたエリオーラにとっては外の世界は新鮮そのもの。
 目を輝かせながらグルムリン領に向かう途中、エリオーラは魔物に襲われている一団に遭遇する。
 このままでは人も魔物も余計な血が流れてしまう。
「初級魔法しか能がなくても、どんな術も使い方次第」
 が信条のエリオーラ。音を操る術を巧みに組み合わせ、魔物が嫌う音を奏でるオリジナルの魔法を使って難なく追い払い、見事に誰も傷つけることなく解決してみせる。
 助けられた一団は、お忍びで各地を視察していた大国の第三王子レヴィンス一行。
「是非ともお礼を」
「いえ、別に大したことをしたわけでもありませんので」
 名も名乗らずにグルムリン領方面へと去っていくエリオーラにレヴィンスは強い興味を持つ。


【第三話】
 エリオーラは色々寄り道をしたために大幅に予定は遅れに遅れ、何とか目的地であるグルムリン領へと辿りつく。
 そこは辺境中の辺境。土地は痩せこけていて、経済的に困窮しており、治安も相当に悪く、街も村も整備されていないところだらけ。人と仲が悪いエルフやドワーフなどの住処が近くにあり。おまけに度々魔物やら魔獣やらが出没しては人を襲うーーと問題だらけの土地。
 普通の令嬢なら悲鳴をあげて卒倒してしまいそうなものだが、魔法の研究さえできれば良いエリオーラは全く気にしない。むしろ妙な霊脈が通るグルムリン領に興味いっぱい。
 あてがわれた屋敷はボロボロでイタズラばかりする悪霊たちの住処になっていたが、どんなポルターガイスト現象が起こっても嬉々として研究し尽くそうとするエリオーラ。最後にはゴーストらの方が根負けする。
「じゃあ、あなた達が荒らしたんだから責任をもって一緒に片付けてね」
 とエリノーラは悪霊たちを手懐けてあろうことから使用人として雇ってしまうのだった。