「おお……!!めっちゃいいです!」
 あおいさんにアドバイスをしてから何週間か後、動画が完成したと連絡が入った。今はその動画を二人で確認している。正直、自分が歌ってるとは思えないくらい可愛い。あおいさんも、普段の歌ってみたとのギャップがいい!
「本当ですか……!くまおんさんが一緒に歌ってくださったからですよ!」
「いえいえ、あおいさんの歌、本家の男の子の感じすごく出ていました!」
 本当に、いつものあおいさんの歌声に好きの気持ちが混ざって、可愛くて優しい男の子って感じ。あたしのこと、本当に好きなんじゃないのって思っちゃいそう。もちろん、あおいさんは月への好きを歌っているだけだから、あたしに向けてじゃないんだけどね。
「本当にコラボを受けてくださって、ありがとうございました。実は僕、学校で中学生っぽくない歌い方だって言われていて、この曲が歌えたら年相応の歌い方もできるようになるかなって思ったんです。」
「え?年相応ってことは中学生?! ……私も中学生です」
「えっ?!同年代だったんですね。くまおんさんの声、とても大人っぽくて。私生活のことはあまりSNSに投稿されていませんでしたし、僕よりずっと大人だと思ってました。」
 確かに、あたしは、親との約束で、リアルの話はSNSでしない。でもまさか年上だと思われていたなんてびっくり。あおいさんと同年代だったのもびっくり。
「私のほうこそ、あおいさんのこと年上だと思ってました……。歌も上手だし、SNSの投稿も礼儀正しくて。」
 あんなに綺麗な声で歌う中学生がいたんだ……。かっこいいな。
「へへ、なんか照れますね。あ、じゃあ、投稿の予約しておきますね。明後日の19時で大丈夫ですか?」
「はい! SNSでめっちゃ宣伝しますね!」
 そうだよ、動画動画! 二人で頑張った歌ってみたがやっと見てもらえるんだ。
「あの、もしよければ、敬語やめませんか? 」
「ええっ、敬語を外すのは……ちょっと……緊張するというかなんというか……」
「そうですか……」
えぇ、画面越しでもわかるぐらいしょんぼりしてるよ……。意外と可愛いんだよね、あおいさん。それに、せっかく仲良くなれそうだし……うん。
「わかった、敬語やめる!」
「本当?!嬉しいな。じゃあ、これからもよろしくね。くまちゃん。」
「く、くま、ちゃん?!?!」
「え、だって、さんづけは違うでしょ。」
 あおいさんのくまちゃん呼びは可愛すぎる。あたし、顔赤くなってないかな?いや、絶対なってる……!よかった、あおいさんに顔見えなくて。しかも、ちょっと言いづらそうにしてる。自分から言い出したのに、面白いな。
「あはっ、でっ、でもっ、くまちゃんじゃないって……ふふっ」
「そんなに笑わないでくださいよぉ……」
「あっ!敬語使った!!」
「あ、ごめん。くまちゃん。」
 くまちゃん呼びは、譲らなさそう。ちょっと、いやかなり恥ずかしいけど、仲良くなれた証かな。
「じゃあ、これからもよろしくね。あおい君!」
「うん、よろしくね。くまちゃん。」
 これからも、たくさんの歌を歌い続けたいな。それから、またあおい君ともコラボできるように頑張るんだ!