あたしは今、人生で一番緊張している。事の発端は、昨日届いた一通のDM。……とその前に、ここから先は、あたしのことを知ってもらわないと。話がわからなくなっちゃうね。
あたしは、熊谷美音（くまがいみおん）。中学二年生。趣味は歌ってみたを投稿すること。
あたしは「くまおん」って名前で、「歌い手」をやってるんだ！ といっても、完全に趣味で、まだ始めて一年くらい。チャンネルを登録してくれている人も数百人。少ないなぁって思うかもしれないけど、あたしの歌を聞いて感想を書いてくれる人がいる。それだけで嬉しくて、歌うことが楽しくて、やめなれない！
そんなあたしのもとに届いたこのDM。DMの主は、同じく歌い手として活動している「長月あおい」さん。男性歌い手で、チャンネル登録者数は最近1万人を超えている。あたしの歌い手仲間の間でも一目置かれている。そんな人があたしに何の用なのかというと、なんとなんと、「歌ってみたコラボをしたい」だそうで！！！ あたし、コラボのお誘いなんて初めてだったから、嬉しすぎて即OKしちゃったんだ。
というわけで、さっそく「コラボ動画の打ち合わせをするために「長月あおい」さんを待っているわけなんだけど、めっちゃ緊張している。だって、こんな打ち合わせ初めてなんだもん……！
そういえば、あおいさんってどんな人なんだろう。SNSも歌のことしかつぶやかないから、よくわからないんだよね。おじさん説とか女の子説とか色々噂されてる。でも、すごく綺麗な歌声で繊細に歌う人だから、きっとかっこいい大人の人なんだろうなぁ。
「お疲れ様ですー。お待たせしてしまってすみません。無月あおいです。」
あっ、あおいさんのこと考えてたらきちゃった……！！ 地声、意外と高いんだ。じゃなくて！
「お、お疲れさまですっ！ くまおんです！ ほ、本日は、お、お日柄もよく！ ええと……」
「……そんなに緊張しなくても、いいですよ？」
「あ、す、すみません……こういう打ち合わせ、初めてなんです……」
「そうなんですか？！ 僕も初めてなんです。一緒ですね。」
ひゃー……！あおいさんに気をつかわせてしまった。あおいさん、声だけじゃなくて性格まで優しいな。気をつかわせないようにしないと。
「一緒……ですね！一緒に頑張りましょう！！」
「はい！ それで、さっそくなんですけど”く↑まおん”さん……”くまお⤴ん”さん？ ……”くま⤵おん”さん……んん？」
「ふははっ！！ どっ、どれも違いますっ…！！ ふふっ、”くまおん”ですっ。どっ、どこにもアクセントはつかないですっ……！！」
あたしの名前のイントネーション、そんなに難しかったかなぁ。にしても、面白すぎだよ！ 意外と天然？
「すみません……。っていうか、そんなに笑わないでください……。」
「あはっ、あまりにもぐちゃぐちゃだったので……でも、どれでもいいですよ。呼ばれたことないので、多分みんな適当に呼んでると思います。」
あたしは、親と歌い手さんとの交流は最低限にするって約束してるんだ。個人情報に繋がりそうなやりとりはしないようにしている。何かあってからじゃ遅いからって、だから個人通話も、あおいさんが初めて。
「そうなんですね。じゃあ、僕がくまおんさんのことを初めて呼んだ人ですね。」
「そ、そうですねっ……。そ、それで、今回のコラボはどんな曲を歌うんですか？」
ちゃんと名前を呼ばれて、びっくりしちゃった。恥ずかしくて、急に話題変えちゃったけど、大丈夫だったかな……。
そんなあたしの心配は杞憂だったようで、あおいさんは普通に返してくれた。
「はい。その……くまおんさんがよければなんですけど……」
あたしは、熊谷美音（くまがいみおん）。中学二年生。趣味は歌ってみたを投稿すること。
あたしは「くまおん」って名前で、「歌い手」をやってるんだ！ といっても、完全に趣味で、まだ始めて一年くらい。チャンネルを登録してくれている人も数百人。少ないなぁって思うかもしれないけど、あたしの歌を聞いて感想を書いてくれる人がいる。それだけで嬉しくて、歌うことが楽しくて、やめなれない！
そんなあたしのもとに届いたこのDM。DMの主は、同じく歌い手として活動している「長月あおい」さん。男性歌い手で、チャンネル登録者数は最近1万人を超えている。あたしの歌い手仲間の間でも一目置かれている。そんな人があたしに何の用なのかというと、なんとなんと、「歌ってみたコラボをしたい」だそうで！！！ あたし、コラボのお誘いなんて初めてだったから、嬉しすぎて即OKしちゃったんだ。
というわけで、さっそく「コラボ動画の打ち合わせをするために「長月あおい」さんを待っているわけなんだけど、めっちゃ緊張している。だって、こんな打ち合わせ初めてなんだもん……！
そういえば、あおいさんってどんな人なんだろう。SNSも歌のことしかつぶやかないから、よくわからないんだよね。おじさん説とか女の子説とか色々噂されてる。でも、すごく綺麗な歌声で繊細に歌う人だから、きっとかっこいい大人の人なんだろうなぁ。
「お疲れ様ですー。お待たせしてしまってすみません。無月あおいです。」
あっ、あおいさんのこと考えてたらきちゃった……！！ 地声、意外と高いんだ。じゃなくて！
「お、お疲れさまですっ！ くまおんです！ ほ、本日は、お、お日柄もよく！ ええと……」
「……そんなに緊張しなくても、いいですよ？」
「あ、す、すみません……こういう打ち合わせ、初めてなんです……」
「そうなんですか？！ 僕も初めてなんです。一緒ですね。」
ひゃー……！あおいさんに気をつかわせてしまった。あおいさん、声だけじゃなくて性格まで優しいな。気をつかわせないようにしないと。
「一緒……ですね！一緒に頑張りましょう！！」
「はい！ それで、さっそくなんですけど”く↑まおん”さん……”くまお⤴ん”さん？ ……”くま⤵おん”さん……んん？」
「ふははっ！！ どっ、どれも違いますっ…！！ ふふっ、”くまおん”ですっ。どっ、どこにもアクセントはつかないですっ……！！」
あたしの名前のイントネーション、そんなに難しかったかなぁ。にしても、面白すぎだよ！ 意外と天然？
「すみません……。っていうか、そんなに笑わないでください……。」
「あはっ、あまりにもぐちゃぐちゃだったので……でも、どれでもいいですよ。呼ばれたことないので、多分みんな適当に呼んでると思います。」
あたしは、親と歌い手さんとの交流は最低限にするって約束してるんだ。個人情報に繋がりそうなやりとりはしないようにしている。何かあってからじゃ遅いからって、だから個人通話も、あおいさんが初めて。
「そうなんですね。じゃあ、僕がくまおんさんのことを初めて呼んだ人ですね。」
「そ、そうですねっ……。そ、それで、今回のコラボはどんな曲を歌うんですか？」
ちゃんと名前を呼ばれて、びっくりしちゃった。恥ずかしくて、急に話題変えちゃったけど、大丈夫だったかな……。
そんなあたしの心配は杞憂だったようで、あおいさんは普通に返してくれた。
「はい。その……くまおんさんがよければなんですけど……」
