彼とは音楽室で出会った
高校1年のある日のお昼休み
友だちと呼べる人もいなかった私はお昼を食べ終わると校内を歩姿が日課になっていた
その日は教室から離れた場所に行ってみたくて
そうしたら聞こえてきたピアノの音
弾いていたのは律屋 湊音
クラスは違ったけど、私も知っている学年でも有名な人
色白で儚げ、そして物静かな印象なのに周りにはいつも誰かがいて笑っている
人当たりもよくて輪の中心人物
私とは真反対だな、なんて思ったこともある
そんな彼が音楽室でピアノを弾いているなんて
引き込まれる優しい音色に聞き入っていたら声をかけられ、観客になって欲しいと言われた
驚きはしたものの、お昼にすることもなかった私は頷いた
だってまた聞けるんだって思えたら嬉しくて



