復讐は蜜の味 ~悪女と言われた公爵令嬢が、幸せを掴むまで~

 彼女たちは、気を遣わなければすぐに傷つき、すぐに泣き、もしくは怒り。自分は愛され大事にされるべき存在だと信じて疑わない。

「女騎士には優しかったですが、あれは異性としてではないでしょうし」

 それはマロの言う通りだ。

 騎士や兵士に男女の差はつけない。

「とにかく意外だったもので」

「そんなにか?」

「ええ、ジダンなんて気をもんじやって」

 ジダンはマロと一緒に護衛についていた騎士だ。

「なんでジダンが気をもむんだ」

「ジダンに限らずですよ、ルルは騎士の間でも人気で」

「そうなのか?」

 こくこくと頷くマロは、理由をあげつらう。

 愚痴も言わないし、同情を引くような素振りも、ルルはいっさい見せない。

 いつだって明るくて笑顔で、優しい子だと。

「ルルは、本当にいい子ですからね。美人だし」

 言いながら堅物なはずのマロの顔が緩んでいく。

「もしかして、マロ、お前もルルが好きなのか?」

 マロは高速で左右に頭を振る。