復讐は蜜の味 ~悪女と言われた公爵令嬢が、幸せを掴むまで~

 それから少し話をして、ピエールは城内にある自分の部屋へ帰った。



 ルイーズが生きていた?

 本当かどうか、いくらここで考えたところで、真実はわからない。

 ディートリヒは信用できないが、それでもこの話だけは、真実であってほしいと思う。

 生きていてほしい。

 たとえルルがルイーズであろうとなかろうと――。

「閣下、お背中流しましょう」

 風呂場にマロが入ってきた。

「ああ、頼む」

 風呂の係もルルにすればよかったかと、ふと思う。

 恥ずかしがり屋のルルだ。きっと真っ赤になって俯いたまま、もじもじしているに違いない。

 耳まで赤くするルルを想像し、クスッと笑う。

「くすぐったかったですか?」

「いや。――そういえば、祭りに何人か不審な男がいたな」

 平民の格好をしていたが、体格や動きからして、おそらく騎士。いかにも育ちのよさそうな雰囲気から察するに近衛兵か。

 ディートリヒは選民意識が強い。側近の近衛兵は全員貴族だ。