復讐は蜜の味 ~悪女と言われた公爵令嬢が、幸せを掴むまで~

「祭りで気晴らしでもするかと思ったのに、むしろがっかりしているようです疲れるだけでした。皇帝もバルコニーに姿を見せないし、花火もショボショボで、これを見てください」

 差し出された新聞にはいちめんに大きな見出しがある。

【かつてない凶作に備えよ】

 続く皇帝からの談話には、南部地域が凶作にみまわれ飢えに悲しむ民がいるのに、喜んでいる場合じゃないとある。

「は? 本気かよ。さほどの凶作じゃないだろ」

 当然アレクサンドの耳にもこの秋の南部地域の凶作は耳に入っている。

 だが南部は対策を練り、ここ西部へ支援を申し出てきていた。規模も状況も把握しているアレクサンドからすれば、笑うしかない。

 南部はディートリヒなど最初からあてにしていないのだ、

 わかっているのかいないのか。

「どこまで国民がバカだと思ってるんだろうな」

「帝都の居酒屋も行ってみましたが、みんな呆れていましたよ。せっかく戦争が終わったのに、皇帝は不安ばかりあおるってね」