復讐は蜜の味 ~悪女と言われた公爵令嬢が、幸せを掴むまで~

「ええ、ですが公爵はひとまず様子を見ているのでしょう。体調を理由に、ルイーズを公爵邸に返して欲しいと返事をしたそうです」

 ルルの刺繍は無駄になったか。

 この世には、あかの他人でも双子のように似ている者がいる。

 ルイーズが生きていると信じたい気持ちが、作り上げた幻想だったのかもしれない。

「それらの話を聞いた上で、皇帝に謁見したのですが、皇帝はルイーズ嬢の話はおくびにもださなかったです。淡々と戦勝の祝辞と閣下はいつ上洛するのかと聞くだけでした」

 澄ましたディートリヒの顔が目に浮かぶようで、アレクサンドは眉をひそめる。

「謁見中も近衛兵がぞろりと皇帝を囲んで、異様でしたよ」

 久しぶりに実家にも立ち寄り話を聞くと、宮殿に行くたびに近衛兵が増えているという。

 そんな情勢ゆえか、帝都でのドラゴン祭はかつてないほど活気がなかったそうだ。