復讐は蜜の味 ~悪女と言われた公爵令嬢が、幸せを掴むまで~

 すぐにでも来いという皇帝ディートリヒの矢の催促をかわす他、帝都及び宮殿のの現状を把握するためでもある。

 帝都では、ますますゴーティエ公爵とルイーズの無実を訴える声が沸き起こっていたという。

「われら以外にも誰かが動いているようです」

 宮殿に押し寄せた民衆の暴走を、近衛兵が一度は食い止めたが、その方法が悪かった。

 先頭にいた丸腰の女性を斬りつけたのだ。

 抗議のデモは収まるところを知らず、日に日に勢いは増していった。

 力ずくでなんとかできると思っていたはずが、自ら〝賢帝〟を豪語するディートリヒは身動きが取れなくなったようだ。

「それで、ルイーズはどこにいたと言っているんだ」

「西の塔には送らず、無実を信じ、実は宮殿で密かに匿っていたと。――西の塔に向かった馬車は、実は誰も乗せていなかったというんです」

 ふざけるなと吐き捨てたが、証拠がない。