復讐は蜜の味 ~悪女と言われた公爵令嬢が、幸せを掴むまで~

 派手な女の発言に、アレクサンドは思わずビールを吹き出しそうになった。

『残念だな、閣下はどんな美人でも見向きもしねーらしいぞ』

『じゃ、どんな女がいいっていうんだよ』

 いったいなんて答えるのか、耳を澄まして聞いていると。

『アメジストのような瞳が好みなんだとよ』

 どこからそんな話がでたのか。

 しつこく聞かれ適当にそう答えた気もするが。

「どいつもこいつも言いたい放題だったな。まったく」

「でも、みんな閣下が大好きなんですね。私も侍女として鼻が高いです」

 すっかり侍女モードに戻ったルルに寂しさを覚えるのは、祭りの後のせいか。

 その後はルルも無言のまま、窓から街を見ている。

 なんともいいようのない寂寥感が馬車を包んだ。

 寂しそうに見える彼女の肩を抱き寄せたい衝動にかられるが、気持ちを落ち着いて瞼を閉じる。

「疲れただろうからゆっくり休むといい」

「はい。ありがとうございます。では、おやすみなさいませ」

「ああ、おやすみ」