復讐は蜜の味 ~悪女と言われた公爵令嬢が、幸せを掴むまで~

「こんなに凄いとは思ってなかった! 音がお腹に響いて胸が震えるような感じで」

 興奮冷めやらぬようで、ルルは花火の感想を力説する。

「今日の花火は、普段の倍の規模だったからな」

「そうなのね。よかったわ、見れて」

 娯楽の少ない辺境の地だ。せめて花火くらいと、帝国内のどこよりも派手にあげている。花火でいえば帝都も敵わない。



 街は夜通し祭りが続くが、花火を最後にアレクサンドとルルは待たせてある馬車に乗った。

「今日は本当にありがとうございました。すごく楽しかったです」

 ルルは敬語に戻った。

「こっちこそ、助かったよ」

「誰も閣下に気づきませんでしたね。すぐ隣で閣下の噂話をはじめたりして」

「あれにはまいったな」

 立ち寄った居酒屋や、あちこちでアレクサンドの噂話を耳にした。

 居酒屋ではアレクサンドが独身だという話で盛り上がっていたのだが――。

『ここらで一番美人のあたしが立候補しようかな。夜のお相手ってことでさ』