復讐は蜜の味 ~悪女と言われた公爵令嬢が、幸せを掴むまで~

 慌てて口に手をあてたルルと、また笑い合う。

 馬車の中で敬語なしの会話を練習しながら笑っているうちに馬車は目的地に到着し、街の路地に下りた。

「うわー。凄い人ですね」

 老若男女どこもかしこも人だらけだ。

「領地の外れの村からも集まってるからな」

 時刻はすでに午後の三時をまわっているが、昼前から街は賑わっていて、城へと続く通りにある広場では、大道芸が子どもたちの歓声に答えている。

 アコーディオンやバイオリンに合わせ踊る人々、酔っぱらって警備隊に怒られている男。広場をぐるりと囲むようにならんでいる出店。

 ルルは見るものすべてに胸が弾んでいるようだ。

「じゃあ、まずは出店を見て回るか」

「はい!」

 アレクサンドは手を差し伸べた。

「迷子になったら困るだろ。手を繋いでさえいればキョロキョロしててもはぐれずに済む」

 さあ、と促されルルはアレクサンドの手に、自分の手を重ねる。

 華奢な手だと思った。

 苦労をするにはあまりにも細い指だ。