「安心しました。ありがとうございます!」

 今までも心配ないとは言われていたが、大公の具体的な話を聞き、心から安心できた。

「帝国で俺ほど魔獣に詳しいやつはいないぞ。なんでも聞いてくれ」

 彼の笑顔に釣られて、ルルもクスクスと笑った。

「ルル、なんにしろ、今がすべてだ」

 大公は穏やかな笑みを浮かべたまま、ジッとルルを見る。

「今笑顔なら未来のお前も笑顔だ。なにも心配ない」

(えっ……)

 と、そこで扉がノックされ、お客様が到着したとカンタンが呼びに来た。

 立ち上がった大公は、テーブルの上にあった小さな花瓶から白いバラを一輪抜き、ルルに差し出す。

「お前の未来は俺が保証する」

 部屋を後にする太公の背中をドキドキと胸を高鳴らせながら見つめ、ルルは受け取ったバラをギュッと握った。

(どうして、閣下が私の未来を?)

 意味はわからないのに、それでも明日の幸せが保証されたと思った。

 来週も、寂しい秋も寒い冬も、きっと笑顔でいるに違いないと――。