復讐は蜜の味 ~悪女と言われた公爵令嬢が、幸せを掴むまで~

 西国には帝国にはない純度の砂糖が産出される。今後は安く手に入るし、海を含む西国の肥沃な領地五分の一と、自由貿易を勝ち取った。

 賠償金だけでも、ダイヤモンドの鉱山三カ所の採掘権を手に入れているし、なによりも帝国の重要な油田を守り切ったのである。

「さすが兄上だと、笑っていらっしゃいました。次は南にでも行くのか、と」

 アレクサンドはハハッと弾けたように笑った。

「行かねぇし」

 それにしてもと、ピエールは大袈裟に溜め息をつく。

「戦争好きな人間がいるなんて、本気で思っているんですかね」

「思っちゃいないだろ。俺が狂っているというイメージを植え付けるのが目的だ」

 兄は狂暴で人の命を石ころのようにしか思っていないと、必死に吹聴している姿が目に浮かぶようだと苦笑する。

「ですが、閣下は皇帝の椅子にまったく興味がないと信じているようですよ? まぁ、私も騎士団長もそう思わせるように仕向けてはいますが」

「信じたいんだろう。自分を守るためにな」