復讐は蜜の味 ~悪女と言われた公爵令嬢が、幸せを掴むまで~

 歴史に残る愚かな君主と言われているが、実はそれは違う。

『アレクサンドよ、南と西の不安さえ解消できれば、帝国の曇りなき未来は保証される。頼んだぞ』

 父は無駄に遊び呆けていたわけじゃない。

 侍らせた美姫は皆、政治的な人質だったが分け隔てなく愛情を注いだ。

 自らが放蕩ぶりを発揮することで奸臣を炙り出していたのである。

 事実、人格者であるゴーティエ公爵を中心とした功臣を従え、帝国は安定していた。

 ディートリヒを皇太子にしたのも、意味がある。

 すべては西側との戦争が終結するまでだった。

(父上……)

 ようやく西国との決着がついたというのに。

 無念な思いが溢れ、アレクサンドは拳を強く握った。

「勝利の報告に、ディートリヒはなんと答えた?」

 アレクサンドはまだ帝都に行っていない。

 騎士団長とピエールが代行している。

 普通に考えれば、この上ない祝福をされるはずだ。