復讐は蜜の味 ~悪女と言われた公爵令嬢が、幸せを掴むまで~

「【却下】だ。説明なんか必要ない。なにが治療師だ。あいつが平和のために魔石を使うわけはない」

 あははと、ピエールは高らかに笑う、

「閣下でなければ書けない言葉ですね。しかし、これを機に閣下の評判を落とす狙いもあるでしょうし」

 帝都ではすでに、大公が魔石を独占しているという噂が流れている。

「いずれにしろ近々帝都には行くさ。それで、今、宮殿の様子はどうだ」

 ピエールの笑いが苦笑に変わる。

「相変わらずですよ」



 帝国グロワールは二百年の歴史を持つ。

 初代皇帝はドラゴンの化身といわれ、百五十歳まで生きたそうだ。

 現在の帝国を基盤を作り繁栄させてきた初代皇帝が、素晴らし過ぎたのかもしれない。二代三代と代を重ねる毎に皇族は堕落していった。

 アレクサンドや現皇帝ディートリヒの父は四代目の皇帝だったが、彼の頭の中には享楽しかなかったと言われている。

 政務を顧みる意志はまったくなく、美妃を侍らせ酒池肉林の日々を過ごしていた。