復讐は蜜の味 ~悪女と言われた公爵令嬢が、幸せを掴むまで~

 亡くなった皇帝はアレクサンドの父である。

 一時帰国して葬儀には参列したが、ディートリヒに対する不信感は拭えない。

『なぜ俺を裁判に呼ばなかった』

『兄上の邪魔をしてはいけないと思いまして』

 いったいなにが本当でなにが嘘なのか。

 調べたところによれば、婚約者として宮殿に入った公爵令嬢ルイーズが、派手な生活ぶりだったのは本当だったらしい。

 高価な宝石や豪華なドレス。著名な音楽家を招いての盛大なお茶会。

 民衆は悪天候によるの凶作続きで、貧しさに喘いでいるというのに顧みず、どこ吹く風の派手な暮らしぶりだったという。

 皇后に戒められ逆恨みをしたと言われているが――。

 どうしても、ひっかかる。

 功臣であるゴーティエ公爵が娘に毒を渡す理由もなければ、二十歳前の公爵令嬢が皇帝の毒殺などという大胆な犯行を企てるとは到底思えない。

 ゴーティエ公爵はアレクサンドの剣の師匠てある。

 父、皇帝も彼には全幅の信頼を寄せていたのだ。