地下牢に入って二日目。

 ルイーズは牢番に頭を下げ、彼が読んでいた新聞を見せてもらった。

 貴族向け新聞と平民向けの新聞が二種ずつ。

 手を振るわせながら、最初に開いたのは貴族新聞だ。

【ルイーズ・ゴーティエ。皇帝、皇后、第二皇子の毒殺を企てる!】

 大きな見出しには予想通りの言葉が並んでいた。

 重要なのは平民向けの新聞だ。美辞麗句を並べたりせず忖度なく真実が書いてあるのはむしろ平民向けの新聞である。

【希代の悪女。ルイーズに正義の鉄槌を!】

 さらにもうひとつの平民向け新聞を開く。

【私欲にまみれた魔女ルイーズに死刑を!】

〝国民が貧窮に苦しむ中、皇太子の婚約者であったルイーズは宝石を買い漁り贅沢三昧の日々を送っていた。

 常に不機嫌で気難しく高級食材しか口にせず、遂には我々の太陽である皇帝の毒殺を企てた悪女である。

 皇后に贅沢な暮らしぶりを注意され、腹いせの凶行!〟

「そんな……」

 口を覆った手から、思わず声が漏れた。