西の窓から見下ろした外には、中央に噴水があり、ぐるりと囲む花壇のほかは青々とした芝生と石畳が広がっている。

 噴水の中央にある女神の像が長い影を作っていた。

 目の前に広がるのは帝国が誇る宮廷だ。

 右を振り向けば皇帝の住まう本宮が、白い外壁を輝かせそびえ建っている。

 いくつかの宮殿が囲むこの場所にいっさい高木がない理由は、隠れ場所を無くすためと聞く。

 普段は宮殿を訪れる貴族の馬車行き交うだけだが、去年の秋、皇帝の戴冠式のときには、庭園に多くの国民が溢れかえったそうだ。

 ルルは宮殿の地下牢にいて見ていないが、今日ほどではなかったに違いないと思う。