熱いランタンの光と。

 それから五年の月日をかけて、翼は僕に笑顔を戻してくれたいつも、優しくて温かい笑顔をいっぱいくれた。

 僕はいつの間にか。いつからだろう。

 心の底から、元気だった。


 ある夏の日の夕方。涼しい風に吹かれる。砂浜でふたり、甦る思い出を語る。

 翼は明日、マリンバの腕を上げるため、この町を出る。翼の指に光るのは銀の指輪。

 二人の、婚約指輪。僕と翼が、同時に言った。

「翼」 「那由多」

 言いたいことが分かった気がして、2人でクスリと微笑んだ。

「温かい笑顔を、ありがとう。」

 2人の目に涙が浮かぶ。
 でもそれはお互い自分では知らなかった。涙なんて隠していたい。