ひとたらしどうし

「…頬、に…」


つぶやいた私に、


「ん?どした?頬?」


運転席と助手席を隔てる距離は、ほんの少しで。


まるでそれは、今の白石さんと私の距離のよう、で。


少しずつで構わないと思う反面、この少しの距離さえもどかしい。


見つめ続けてきた時間を、埋めてしまいたい。


どんどん、どんどん。


欲張りになってゆく、自分自身の気持ち。


でもなんだか。


それさえも、誇らしく愛おしい。