ひとたらしどうし

ひと足先に待ってくれていた、白石さん。


大輔くんもいて、ふたりで談笑している。


「お待たせしました」


かけた声で、振り返った白石さん。


「おぉ、来たねー、じゃあ、行こうか」


言いながら差し出されたのは、白石さんの左手で。


反射で握りそうになった、自分の右手をすんでのところで引っ込めた。


後ろからは、実奈ちゃんと大輔くんの視線をひしひしと感じる。


しかもまだ、駐車場だとはいえ、会社の敷地内だし。


私が反射で、白石さんのてのひらに自分の右手を預けようとしたように、白石さんもきっと、無意識のはず、で。


その感情が、かろうじて理性を保たせた。