ひとたらしどうし

私のてのひらに収まった懐中電灯は、そのままひょいと、宙に浮かんだ。


懐中電灯を受けとるために、差し出していた私の右手のてのひらは、ゆるい強さで握られている。


白石さんの大きな、てのひらに。


重なった、ふたつのてのひらを、ぼうっと見つめる。


そうして数秒ののち、はっ、と気がついてあげた目線は、白石さんの目の中に拘束される。


まただ、と、思う。


こうして見つめ合えば、無音の世界がやってくる。


ゆっくりと、そのくちびるが動く瞬間を見つめる。


その瞬間を見計らったのように、音を取り戻した世界。


「ふふ。今だけ、公私混同、だね?」


にこり、と笑う目元はもれなく、だから、ずるい。