ひとたらしどうし

「…それは、あのー、また、わかっててわざと言ってるでしょ」


……ずるいなぁ、もう…


かろうじて、そんなふうにつぶやいた、白石さんの声が耳に届いた。


「…え…?…いや…、そんなふうに白石さんが思ってくれているのなら、はずかしいけどすごく、嬉しいな、って」


「……、」


しばしの沈黙のあと、


「…おぉ…、あのー、そういう言動はさ、オレ以外のヤツの前では発動しないように。そんでもって、ふたりきりのときに発動するように」


いい?オーケー?


オレの気持ちをいいだけ、ぶらんぶらん揺さぶってるけど、こんな職場の事務所じゃ、したくてもなんにもできないんだから。


こんなとこで、そんな気持ちにさせるのは反則だから。…反則ってかもう、酷だから。