ひとたらしどうし

「…格好いい、な…って」


「…ん…?」


ちいさな声だったから、私の声は届かなかったみたい、で。


…ん?


もう一度、問いかけた白石さんは、私の声を聞くために膝を折って、私のくちもとへ自分の耳を近づけた。


ふわり、と、香ったのは淡いミントで。


いろんな感情が溢れて、思わずその頬にキスしそうになって、直前で我に帰る。


ん?


私の声を聞くための横顔が、ゆっくりと私を見る。



鼻先と鼻先がくっつきそうな距離に、一瞬ときが止まった気がした。


「…きゃ…ッ!…」


叫んだ声が、私の体から出たものすらも分からなくて。


瞬時に、白石さんから体を離した。


「キスしそうになっちゃったね」


ふふ。


余裕で笑う、その笑顔にまた、見とれる。