ひとたらしどうし

「…そんなん、反則だから…、…なんて、出来なくなる」



そんな風につぶやいた、白石さん。


ちいさな声だったから、途中が聞き取れなくて。


……え…?


もったいなさすぎて、フィルムを開けることが出来なかった、柚子ミントのパッケージを握ったまま、白石さんに聞き返した。


黙ってしまった、白石さんに。


「今、どこかに行く途中だったんですか?」


とりあえず、話題を振りたくてそんなふうに問いかけた。


「…あぁ、夕飯に行こうと」


戸惑いが隠しきれていない感情が、その声に乗っていることに気がついているけれど。



なんとかこの、無音の状況を打破したい。


「なにを食べるんですかッ?!」


思いのほか、大きくなってしまった自分の声が、辺りに響いてしまったけれど。


「…おー、でかい声でまた、どうでもいいことを…」