ひとたらしどうし

ちゅ。


リップノイズが響いた車内。


目を開けると、叶夢さんが少し、びっくりした表情を浮かべていて。


「…なにからなにまで、反則、過ぎるでしょ…」


ちいさく、つぶやいた。
 

とにかく、早く帰ろ。んで、ゆっくり、責任取って貰うから。


窓の外の、流れる景色は、叶夢さんと私のふたりきりの時間に向かって変わっていく。


我慢の限界が来る前に、叶夢さんの部屋に着いて。


焦ったように、車を停めた叶夢さん。


私の手を取って、そのまま引き寄せた。


助手席から身を乗り出す格好になりながら、運転席に座る叶夢さんに抱き締められた。


熱を持った、その力強さがうれしくて。


「…叶夢さん…はやく…」


つぶやいた声は、もれなく、叶夢さんのくちびるに塞がれた。