「叶夢さんッ!!」


「…は、はいッ…!?」


回りの人が、思わず振り返るような、私の大声で呼ばれた叶夢さんは、びくん、と、両肩をあげた。


そんな仕草すら、いちいち、可愛らしくて。


「行きますよッ!!」


手首を握ったまま、号令のように掛けた、コトバ。


その勢いのまま、駐車場へ向かって、ずんずん歩く。


いつもは、叶夢さんが私の手を引いてくれるけれど。


私だって、叶夢さんの手を引いて見せる。


意地のような感情が、自分の中に存在することに自分自身驚いているけれど。


私にこんな変化を起こさせるのは、叶夢さんなのだ。