握った、叶夢さんの左手首。


さっきまで、高崎さんが握っていて。


その痕跡を消し去るように、強く強く、ひたすらに強く、その手首を握る。


…柚ちゃん…?


少し、戸惑いの表情を浮かべている、叶夢さん。


その目の中に、高崎さんを映していた時期が確かにあったのだ。


そう考えるだけで、むくむくと浮かんでくる、この感情、は。


…純粋な、嫉妬心、だ。