ひとたらしどうし

どれくらい、そうしていたのか。


すっかり落ち着いて、そっと触れていた右手を惜しみながら離した。


「落ち着いた…?」


頭の上から、やわらかに落ちてくる声と、背中を伝うやわらかな熱。


月明かりを浴びて、やさしさが増している、白石さんの目の色。


その目を見つめていたら、この状況を冷静に考えられる思考がやっと戻ってきて、急に恥ずかしさが襲ってくる。


…今、どういう状況、だ…?


下を向いて考えながら、狼狽する。


…だめだ、顔があげられない…