ひとたらしどうし


「…あ、の…なんか、勘違いかも、知れなくて……」



その場にへたりこんでしまった私に、


「うん。大丈夫だよ?」


続きを促すのは、白石さんの優しい声。


「…なんか、変なひとがいて…」


今、来た道をふらふらと指差した。


つたない私の説明を聞いた白石さんは。


「見てくるから待ってて」


言いながら、立ち上がりかけた。


「…ッ!…待って…!行かないで…!!」


イレギュラーなことが、起こりすぎたせい、だ。


…だから、その腕をおもわず掴んでしまった。


シャツ越しでもわかる、ごつごつとした腕や、柔らかな体温に、一瞬たじろいだ。


「…そっか、ごめん。こわいよね、ひとりで置いていくなんて」


大丈夫、大丈夫だよ。


落ち着かせるように、繰り返されるそれは、優しい甘さに満ちている。