ひとたらしどうし

「待ってて、今、タオル持ってくるから」


私の脇を避けて、部屋に上がろうとした叶夢さん。


反射で、その腕を掴んだ。


そんな、叶夢さんの腕を掴んでいる、私のてのひらを見下ろした叶夢さんは、ゆっくりと目をあげた。


目があった、その瞬間。


がしゃり、と音が弾いた気がした。


玄関先で、ただ見つめ合う。


この瞬間を感じているのは、世界中で叶夢さんと私、だけ。