ひとたらしどうし

今度はぶつぶつ。


端から見たら、完全な不審者だ。


いかんいかん。


首を左右にぶんぶん振って、真っ直ぐ前を向いて歩く。


「…あれ…?」


思わずちいさく呟いたのは、前から歩いてくる男のひとがさっきも、見たひとのような気がしたから。


ウインドブレーカーにスウェットの、いたって普通の格好だけれど。


ニット帽を目のぎりぎり近くまで被っているけれど、なんだかその目がとろんとしていて、不気味だ。


ぶつぶつ何かを言っているみたいだけれど、言葉になっているような、なっていないような。


そうして、思わず立ち止まった私の前を、行ったり来たりしている。


本能が、危ないと告げている。


耳にささったままのイヤホンを取り敢えず外した。