ひとたらしどうし

「柚ちゃん、走ろう!走れる?行くよ!!」


叶夢さんの声が聞こえた瞬間にはもう、走り出している。


雨粒が打ち付けていたって、決して離れない、叶夢さんと私のてのひら。


強い力で、私を引っ張ってくれる叶夢さんのてのひら。


いつだって、やさしく強い。


ひたすらに、叶夢さんに身をゆだねる。


頬をたたく雨粒は、冷たいはずなのに、やさしくぬくい。


「柚ちゃん、大丈夫?!」


再度、振り返って叶夢さんが言う声は、決して雨音に負けたりしない。