ひとたらしどうし

「…あ、そうだ、もし、良かったら」



言いながらも、自分のスーツのパンツの前ポケットや後ろポケット。


ワイシャツの胸ポケットなんかを探りだした白石さん。


あ、あったあった。


「これ、良かったら、どうぞ」


私に笑顔で差し出してくれた、それ、は。


あ、まだ開けていないんで、安心してください。


そんな風に付け足した。


それは、ミントのタブレット、で。


「オレこれ、いろいろ試すの、結構好きで。なんだか、朝野さん疲れてるみたいだったから。気分転換に、どうぞ」


フィルムが開けられていないミントタブレットを、反射的に受け取った。


「…ありがとう、ございます…」


「いえいえ。じゃあ、お疲れ様です」


丁寧に頭を下げて、休憩室を出ていった白石さんを、見送った。