ひとたらしどうし

ふふ。


もう一度、おだやかに笑った叶夢さん。


「貸して?着けてあげる」


言いながらもう、ピアスに手をかけている。


「…いや、大丈夫です。自分で…」


「いいからいいから、ほら」


叶夢さんの指が、私の髪の毛に触れる。


そのまま、ゆるやかに髪の毛を耳に掛けた。


一瞬、髪の毛と耳に触れた叶夢さんの指先は、優しく、やわらかい。


それだけで、もう。