ひとたらしどうし

「柚ちゃんに、ね。消えないものを、渡したくて」


はい。これ、気に入って貰えたら、嬉しいんだけど。


言いながら、叶夢さんが取り出したのはちいさな紙袋で。


「…え、でも…さっきもスリッポン…」


「いいからいいから、さっきの柚ちゃんからのイチゴが、すごく嬉しかったから、お返し」


戸惑う私のコトバに、そんな風に返してくれた、叶夢さん。


「ほら」


言いながら、テーブルの上に載っていた私の手を取って、てのひらを上向けさせた。


そのてのひらに、紙袋を載せてくれる。