ひとたらしどうし

ふわふわとした感情を抱えながら、歩く。


おろしたてのワンピースと、背の高い、叶夢さんに見合うように選んだ、ピンヒール。


履き慣れないピンヒールは、足元をおぼつなかなくさせる。


自然と一歩がちいさくなってしまうけれど、まったく歩幅が不自然にならないのは、叶夢さんが慣れないピンヒールに苦戦する私に、合わせてくれているから、で。


しかも、そんなことは微塵も感じさせない気遣いに、気後れして行く、ココロ。


洋服もアクセサリー店にも、ココロが踊らない。


「柚ちゃん、オレちょっと見たいとこがあって。すぐ戻るから、そこのベンチで待っててくれる?」


ベンチに私を誘った叶夢さんは、私を座らせたと同時に、『すぐ戻るから!!』走って行ってしまった。


…あぁ、カッコつけたかっただけなのに、な。


叶夢さんの身長に合わせるために選んだ、ピンヒール。


たかだが、数センチ高くなったくらいじゃ、見合うも見合わないもないのだ。


なんて、今更ながら自己嫌悪。


行ってしまう前に叶夢さんが、にこり、と笑ってくれたのが、何よりの救い、だ。