ひとたらしどうし

「大丈夫、大丈夫だから」


抱き締められた、腕のなか。


白石さんのあたたかさで、冷たく痺れて、震えていた指の先も、熱を取り戻してゆく。


「…片山さんに、モーションかけたりとか、してないです…」


誤解されたくなくて、ちいさくつぶやいた。


「わかってるよ。そんなこと。疑ったりなんて、1ミリもしてない」


それよりも、オレがひとりで置いてったからだ。嫌な思いさせて本当にごめん。


今、白石さんがここにいてくれたら、それだけでいい、です。


それだけしか、いらないです。


「うん。オレもだよ」


柚ちゃんがいてくれたら、それだけでいい。